月刊たかしまや通信バックナンバー:平成26年10月号

法務省「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」まとめる

「民法」の契約関連の改正で、「敷金・原状回復」に新定義

法律でルール化して、トラブルの未然防止を図る狙い

敷金、原状回復のあり方が変わりそうです。およそ120年ぶりに改正される「民法」の債権関係の法律が最終審議され、来年の国会を経て運用となります。まだ正式決定されていませんが、時代の大きな曲がり角を実感します。

法相の諮問機関の法制審議会はこの8月、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮安」を明らかにしました。民法の債権分野、つまり契約に関する部分の改正で、法務省はこれから原案をまとめて、国会に提出して成立を図ります。

今回、改正の運びとなっている民法は明治29年に制定され、以来大幅改正はされていません。改正の対象となっているのは、日常生活や経済活動に関係する契約のルール。

原案では、賃貸住宅に関して、「敷金」「原状回復」について新しいルールを定めています。

それによりますと敷金について、賃貸人は賃貸借が終了し、賃貸物の返還を受けたとき、「賃借人が適法に賃借権を譲渡したときは、敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の金銭債務の額を控除した残金を返還しなければならない」。また、賃借人は、賃借人が金銭債務を履行しないときは、「敷金を当該債務の弁済に充てることができる。この場合、賃借人は賃貸人に対し、敷金を当該債務に充てることを請求することができない」としています。

一方、原状回復義務に対しては、「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由のときは、この限りではない」とし
ています。

敷金返却を義務づける
要は、敷金は「賃貸借契約が終了したとき、賃料の不払いがない場合、借主に返還しなければならない」と明文化、ルール化されるものです。原状回復についても「通常の使用による損耗、経年変化の損傷を除く」と明記されています。

現行では、敷金を原状回復費用に充てて、修理代金を差し引いて返却する「敷金特約契約」が多いのですが、改正法では、貸主は借主に契約終了時に敷金を返却するように義務づけています。結局、話し合いや国土交通省、東京都の「ガイドライン」を参照して解決してきたことを法律でルール化して、「賃貸契約をめぐるトラブル」を未然に防ぐのが狙いとなっています。

従来、不動産の取引き、賃貸借契約には宅地建物取引法を中心に、借地借家法、消費者契約法、民法等の運用によって行われてきたのを、現行民法を改正して基本的なルールの明文化を図ろうとするものです。

賃貸マーケット情報

高齢単身世帯の約34%が借家に住む
高齢者対応が見過ごせない状況高まる
賃貸経営と高齢者の関係を改めて考えてみたいと思います。平成26年9月15日現在の推計で65歳以上の高齢者人口は3296万人。総人口に占める割合は約26%となり、過去最高です。

今後、この割合は上昇を続け、およそ20年後の平成47年には65歳以上の割合は33.4%。75歳以上が20%となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると見込まれ、すごい高齢社会となります。

そして高齢者のいる世帯は平成25年に、2000万世帯を突破して2086万世帯となっています。30年前の昭和58年が866万世帯ですから、30年で2.4倍規模に膨らみ、このうち、高齢単身世帯は522万世帯と、高齢者のいる世帯全体の約27%を占めています。こうした高齢単身世帯の約34%が借家に住んでいます。

6年以上の割合が高い居住期間
高齢者の増加傾向を反映して、賃貸市場においても高齢者の存在感が高まっています。日本賃貸住宅管理協会の「賃貸住宅市場景況感調査」の最新版(平成25年度下期)では、全国的に高齢者の来客数は一定水準をキープし、平均居住期間でも2~6年が多いなか、首都圏、関西圏ともに高齢者は学生・単身・ファミリーを抜き、6年以上の割合が最も高い傾向を示しています。

このように見ていきますと、賃貸市場において、高齢者対応が見過ごせない状況が今後益々高まっていくのが分かります。国の政策でも高齢者の居住確保に対して、全面的なバックアップを打ち出しており、入居率を高めるためにも、高齢者需要の促進は課題事項と考えられます。

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