月刊たかしまや通信バックナンバー:平成27年2月号

賃貸市場の今年の主だった傾向を見る

社会の変化に備え、マネージメントする「管理」が一段と重要

より安全でもっと便利な快適性を求める傾向に拍車かかる
賃貸経営を取り巻く環境も時代とともに変換します。賃貸住宅本体がハード面で質的向上を実現する一方、ソフト面の多様な広がりが話題を集めています。ゆとりを生み、快適性を求めてる昨今の賃貸市場の傾向をまとめてみました。

今年1年の賃貸経営を考える場合、真っ先に頭をよぎるのことは、いかにして所有する物件の入居稼働率を高めるかです。古い言い方ですが、雨露をしのぐだけの賃貸住宅は過去のものになろうとしています。安全・安心な生活が満喫できる賃貸住宅が当たり前のようになってきました。生活者の暮らしの基盤ともいえる住居を賃貸住宅が支える、そんな時代となっています。

近年、賃貸住宅は木造からRC造へ水回り施設の充実を果たした上に、高遮音性、高気密、高断熱、免震構造などのハード面のレベルアップを実現。高機能性が広まると、次に、より安全なもっと便利に使い勝手のいい、さらに快適性を求める傾向が強まり、従来見られなかった商品の開発に拍車がかかっています。

子育て支援の賃貸住宅、原状回復義務免除のDIY型賃貸住宅、外国人と英語を学びたい日本に限定したシェアハウス、防災設備を備えた賃貸マンション、都市近郊の20~30代の1人暮らしや夫婦のみの世帯をターゲットに開発された賃貸住宅、エネルギー収支の改善を指標としたスマート地帯住宅など、ワンランク上の賃貸住宅が相次いで生まれ、広がりを見せています。

新しく建てる場合、入居者ニーズを満たす最新の賃貸住宅を建設できるのですが、既存で築10年、15年を経た場合は、最新仕様の賃貸住宅とどう対処するかが経営のポイントとなります。

ところで、賃貸住宅の新築ベースが落ち込み、直近のデータとして昨年11月の実績では5ヶ月続けて減少しています。昨年4月の消費税増税や、相続税改正前の影響が一段落したことから駆け込み需要の反動を受け減少しているものです。ただ、新築の勢いが緩む一方、自宅併用賃貸住宅や分譲マンション、個人所有の戸建て住宅の賃貸化が時代の流れとして増えてきそうです。

突き詰めれば管理の充実
このように時代の変遷に対応するには突き詰めれば管理の充実を図る、ということに尽きるのではないでしょうか。退去が発生すれば直ちに入居者募集が始まるのですが、普段の管理が行き届いておれば、解約、原状回復、募集といった入居手続きがよりスムーズに行えます。

賃貸経営を取り巻く環境は時代とともに変わっていくのですが、総合的な管理体制を固めていればその対応はかなり違ったものになると思われます。社会の急速な変化に備えるために、あらゆることを想定してマネジメントする管理が、今年は一段と重要なファクターになるのではないでしょうか。

賃貸マーケット情報

女性に配慮したプランで差別化を打ち出し、入居者満足度のアップを図る

プレキャストコンクリート造で定評のT社が今年に入って女性の視点と発想に重点を置いた賃貸マンションを商品化しました。賃貸マンションはどうしても画一的になりがちですが、T社では開発にあたっては、入居者ターゲット別に、同じ立場にある女性社員でワーキンググループを結成し、コンセプトづくりからプランニング、リーフレット政策まで行ったとしています。そのコンセプトが、暮らしによってキレイと癒しを与えてくれる、女性のための部屋にしたい。そんな願いをかなえる理想の部屋にしたというもの。

いわゆる女性目目線に比重を置いた賃貸住宅の開発は、T社に限らずここ数年、大手ハウスメーカー、建設会社のトレンドになっています。・細やかな気配りと生活者の感性を尊重することから、「女性」をキーワードにした商品化を進めてきたのですが、今では一人暮らしや女性の入居者にターゲットを絞った賃貸住宅の拡大を図っています。

女子力アップのぜいたくな内容
その内容も、料理のしやすいキッチン、音楽を楽しむ、ゆっくりフロに入る、化粧しやすい洗面スペースなど、女子力アップ、女性がキレイになる空間の実現を図るといったぜいたくなものです。

そこで、賃貸経営におきましても、諸事万端において女性目線を積極的に取り入れたらいかがでしょう。住宅敷地内に草花を植える、共用スペースに部分的にも花柄の模様を貼り付けるなど。建物はどうしても防犯、安全、強度、ランニングコスト等が優先されるのですが、そこにほっと一息つけるスペースや飾り、癒しがあっても良いのではないでしょうか。

ニュースフラッシュ

ラーメン好きが選ぶ「おすすめしたい街ランキング」ネクスト

ラーメン好きにはうれしい街のランキングが不動産・住宅情報サイト「HOME’S」を運営するネクストから発表されました。そのものズバリ、ラーメン好きが選ぶ「おすすめしたい街ランキング」。

それによりますと、ラーメンを週1回以上食べる481人を対象に調査した結果、1位が新宿、2位が池袋、3位が渋谷と、山の手3大副都心とも呼ばれるターミナル駅がランクイン。第4位~10位は荻窪、高田馬場、吉祥寺、恵比寿、中野、高円寺、秋葉原、東京(同率10位)となっています。

なかでも1位と2位に票が集中しており、新宿、池袋にラーメン通が引き付ける店が多く、人気ぶりを示しています。各街を選んだ理由では、「好きなお店があるから」が51.4%で最も多いという結果になっています。

ラーメン好きがこうした街を選んだ観点で多かったのは、前述の「好きなお店があるから」(51.4%)で、これに「ラーメン店の激戦区だから」(37.6%)、「街や駅の雰囲気が好きだから」(30.1%)が続いています。

国土交通省データに見る「家賃事情」

家賃の「負担感」の割合が大きく増加

家賃に関連したデータが昨年12月、国土交通省から公表されました。家賃はここ数年横ばい気味で落ち着いているのですが、国交省のデータから意外な側面が窺えます。ご入居頂くお客様の経済事象が垣間見えます。

国交省が年1回全国規模で調査した「住宅市場動向調査報告書」の平成25年度版が昨年12月に公表されましたが、民間賃貸住宅の「家賃の負担感」について、次のように取り上げています。

家賃について、「非常に負担がある」が15.4%、「少し負担感がある」が55.1%で、合計が約71%。ちなみに、「あまり負担感は無い」が22.1%、「全く負担感がない」が6.1%。この「負担感がある」の割合は過去4年間で最大で、「非常に・少し負担感がある」の合計が4年前の22年度は51%ですから、「負担」がある世帯は4割増加したことになります。

それではこの4年間で、家賃が大幅に高くなったかというと決してそういうことはなく、むしろ横ばいながらわずかな減少という捉え方が大半です。5年に1度実施される「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省)がそれを示しています。

タイムリーな家賃設定の対応
調査結果では、民営借家1畳当たりの家賃は非木造が3821円、木造が2611円。5年前の平成20年と比較すると、借家全体の全国平均が22円、民営の木造で105円、非木造で232円とそれぞれダウン。ほんのわずかな落ち込み、もしくは横ばいといえます。この間は経済全体のデフレ事情から、家賃だけが一方的に低下したというより、時代の物価動向にスライドしたとも捉えられます。20~30年ほど前は5年間で2割を超える上昇を見せた時期もあったのですが、時代は一変しました。

現在の社会がそれほど極端に不景気な状態になっている訳ではないのですが、賃貸住宅の入居者の家賃の負担感が以外の大きいという現実に、改めて現実の厳しさを垣間見る思いです。

このように見てきますと、家賃設定も必要以上に弱気になることはありませんが、タイムリーにケースバイケースで対応するのが、入居率を高めることになるのは間違いないと思われます。

 

賃貸経営ワンポイントアドバイス

過度な気遣いは入居者の負担なるが役立つ生活情報を伝え結びつきを深める

入居者との接し方を再確認
賃貸経営における入居者との接し方は、古くて新しい”永遠のテーマ”です。自主管しているケースと管理を一切依頼しているケースでは対応が違ってきますが、年の初めに経営の安定を図るためにも、入居者とのお付き合い(接し方)のあり方を再確認されてはいかがでしょか。

今の若い方は必要以上にかまわれることを嫌うといわれます。事実、住宅関連の調査でも大家さんの過度の口出しを嫌い、避ける傾向が強いといった結果が見られます。反面、貸主さんと良好な関係を維持して、楽しい賃貸生活を過ごしたいといった調査データもあります。

本紙でも何度かこうした関係の兼ね合いを取り上げてきましたが、いわゆる程度問題で接点を完全に断ってしまうと、情報が全く入ってこないで、物事が表面化した時は退去の解約通知とか、悪くすれば滞納発生という風になりかねません。

ある程度の間をあけてもやり取りがありますと、いわゆる「近況」が分かります。決して要らぬお世話にならない、大まかな様子を知るレベルでもいいので、何らかのかかわりは役立つと思います。

そこで普段の連絡に、掲示板や回覧板、お知らせプリントの投函などをお使いだと思いますが、一歩踏み込んだ声かけや、パソコンを活用したメールの発信、さらにはウェブサイト(大家さんのホームページ)を試みてはいかがでしょう。

パソコンを活用する内容は、各戸への連絡事項の伝達のほか、地域の情報や買い物情報(チラシ、クーポン)周辺のお店の新築オープン情報など、身近な生活情報が喜ばれるのではないでしょうか。また、周辺の防犯情報などはきっと歓迎されると思います。

過度な気遣いはかえって負担になるものですが、さりげなく役立つ生活情報をお伝えしつつ、入居者様との人間関係を深めておくのは賃貸経営にとってきっと意義のあるものと思われます。

情報パック

平成25年住宅。土地統計調査からの推計「共同住宅の空き家について分析」(総務省)

この20年間で1.8倍に増えた空き家 共同の賃貸住宅が大部分を占める
総務省統計局が、昨年12月に公表した「共同住宅の空き家について分析」によると、空き家の数は調査の度に増加し、平成5年に448万戸だったのが25年には820万戸と、この20年間で1.8倍に、空き家率でみると10年に1割を超え11.5%となり、その後も一貫して上昇を続けていることが分かりました。

これは、平成25年住宅・土地統計調査の速報集計結果から推計したもので、空き家の種類、建て方別では「賃貸用の住宅」と世帯が長期にわたって不在の「その他の住宅」が、全体の90%以上を占め、「賃貸用の住宅」の建て方別にみると、共同住宅の割合が90%近くと、日本の空き家の内情は、共同住宅が大部分を占めていることになっています。

賃貸用等空き家は446万戸で所有の種類別にみると、民営の空き家が360万戸と81%を占め、公営、公社、給与住宅等の民営以外の空き家が72万戸で16%。民営の空き家が民営以外に比べ5倍の規模となっています。

昭和56年~平成12年建築の空き家が全体の31%を占める
これらを建築時期別にみると、民営の空き家は、昭和56年~平成12年に建てられた住宅が110万戸と比較的多く、この20年間に建てられた住宅の空き家数全体の31%を占める一方、建築時期が不詳の空き家も154万戸(43%)あります。民営以外の空き家についてみると、昭和55年以前に建てられた住宅は33万戸で、民営以外の空き家全体の45%、平成18年以降に建てられた住宅については5万戸で7%と、割合にしては小さいものとなっています。

賃貸用等空き家のうち民営のものの割合を日本全体で見ると、東日本では一部を除き全国平均に近い割合の県が多く、西日本では、全国平均より高い県と低い県との差が出る傾向が見られます。