月刊たかしまや通信バックナンバー:平成27年4月号

今年、空き家対策元年と呼ばれる中での「賃貸経営」の課題

物件の優位性を保つため、経営に柔軟性を持たせる

厳しい環境に屈することなく、オーナー様第一に力添え
空き家の問題が全国的にクローズアップされています。とくに、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が昨年11月に成立して以来、今年は空家対策元年と呼ばれています。改めて賃貸経営と空家の関係についてまとめてみました。

住宅と空き家の現状ですが、総務省が公表している最新のデータ、「平成25年住宅・土地統計調査」(確報集計結果)によりますと、平成25年10月現在のわが国の住宅総数は6063万戸で、5年間で304万戸増えています。過去15年間で1000万戸以上の増加。空き家数は820万戸で、5年前に比べ約63万戸、8.3%の増加。空き家率は13.5%。5年で0.4ポイント上昇し、空き家数、空き家率ともに過去最高です。

ちなみに、別荘等普段人が住んでいない二次的住宅数は41万戸で、二次的住宅を除く空き家率は12.8%。15年前の平成10年の全体の空き家率11.5%以来、高止まりとなっています。二次的住宅を除いた空き家率の高い都道府県の上位は、山梨、愛媛、高知、徳島、香川で、逆に低いのは宮城、沖縄、山形、埼玉、神奈川。

ここ5年間で増えた空き家約63万戸のうち、賃貸住宅は16万5千戸で、およそ全体の26%を占めています。

このように空き家の実態に関する数字を見ていきますと、いやが上にも賃貸市場の実情とダブってきます。継続的に人口減少が続き、世帯数の伸びが鈍り始めたことに加え、物件数の飽和状態がこの10年ほど続いたことから賃貸市況の軟化した結果、賃料相場は甘くなる、といった局面を辿っています。

ただオーナー様もご存知の通り、賃貸住宅は立地、環境、最寄り交通機関、築年数、建物構造、設備内容等によって様々な顔を持ち、同じ地域といっても同一に見られないことが大きな特徴です。いかにして入居者のニーズを汲み取り、差別化を図って、取り組んでいくことに工夫を凝らすかが、賃貸経営の大切なポイントではないかと考えられます。いきなり結論めいたことを挙げましたが、空き家が増えて、お客様が物件を選ぶ選択肢が増えた中、自己所有の物件の優位性を保つために、何を実行すればいいかにかかってくるのではないでしょうか。

空き家が増えていることで、空き家がそれほど目立たなかった20年前とか30年前に比べ、経営環境は厳しくなっていますが、市場の実態を直視して経営に常に柔軟性を持たせることが重要なことと思います。

私どもも厳しい環境に屈することなく、オーナー様第一にバックアップさせていただく所存です。日頃のお悩み、ご不明な点など何なりとご相談ください。

賃貸マーケット情報

「コンセプト型賃貸住宅」

特定のユーザーのニーズを絞り込みコンセプトを全面に打ち出す
「コンセプト型賃貸住宅」が話題を集めています。コンセプト型賃貸住宅」とは、ネーミングの通り、コンセプトを全面に打ち出した賃貸住宅。コンセプトとは、「概念」とか、「イメージ」「着眼点」といった意味で、またマーケティング的に、消費者がほしがる商品を作り出す意味合いもあります。

賃貸住宅に当てはめると、明確な使用目的を絞り込んだ特定のユーザーを視野に開発した商品(賃貸住宅)と位置づけられます。デザインマンションやペット共生賃貸住宅など個性的な持ち味を強調した賃貸住宅が、さらに進化した感じでもあります。特定の入居者ニーズをとことん絞り込んだ賃貸住宅を提供するというものです。

コンセプト型賃貸住宅で話題を集めているのが、楽器演奏できる防音賃貸住宅、菜園付き賃貸住宅、バイク駐車場スペース付き、自転車の住居内持込などのほか、戸建て賃貸住宅、積極的にペットと共生する賃貸住宅などが幅広く、根強い人気を見せています。

多様化した社会を反映
コンセプト型賃貸住宅と表裏の関係にあるのがシェアハウス。仲間・共同体的に同じ趣味の持ち主が集まって生活します。家賃の負担を軽減するために共同生活していたのが、今では会話は英語中心とかワインが好き、音楽演奏が趣味など、入居者同士が交流を深めながら生活しています。

これからの賃貸住宅、社会が多様化した分、画一的なものより、自分により適した、目的がはっきりしたのもが好まれる傾向が強まると考えられ、コンセプト型賃貸住宅の人気もそうした背景を反映しているものと見られます。

ニュースフラッシュ

賃貸住宅の新設、7ヶ月連続の減少 空き家の動向が注目され、ブレーキ

賃貸住宅の新設の足踏み状態が続いています。国土交通省調べによりますと、1月の貸家の新設着工は前年同月比10.3%減の2万6,856戸で、7ヶ月連続の減少となっています。

メインの3大都市圏で見ても、首都圏が前年同月比14.2%減、中部圏が1.8%減、近畿圏が16.9%減となべて減少となっており、3大都市圏以外の地域も5.8%減と、全国的に減少傾向が定着しています。

事実、単月で見ても1月は過去12ヶ月で最も少ない着工数で、平成26年度の26年4月~27年1月の10ヶ月では、前年比3.5%減の30万2,425戸。

「空き家対策特別措置法」が昨年11月に設立され、かつてなく空き家の動向が注目されているだけに、ここへきて賃貸住宅の新設に大きくブレーキがかかったようです。

ただ、市場ではやはり新築の人気が高く、超低金利という環境もあって、現在の市況が一段落した後、どのような動きを見せるのか判然としないものがあります。

入居者のニーズに応える「原点」を考える

発想を変えて、特徴持たせた個性を売る

「入居者ニーズ」といわれます。入居者が希望する設備や最新の機能を備えればそれだけ人気も高まるのですが、築年数が経過して、改良する予算も限度があるため、打つ手が限られてきます。それでは方法があるのでしょうか。

社会が豊かになったことから、賃貸住宅に対する入居者の要望は年々高くなっています。モノの豊富な次代、持ち家で育った賃貸入居者が求める住居は、住環境や設備に高いレベルを要求しています。一般的に、賃貸住宅を探す際に重視するのは、やはり立地や家賃、交通便が上位を占め、同時に、間取り・広さ、設備関連に最新の機能を求めます。そのために入居者の数々の要望を満たすことが、賃貸経営の安定を図るための必須課題となっています。

ではどんな仕様の設備やサービスなら気に入ってもらえるのか。予算をふんだんに使った住宅を建てるのは無理となると、効率よくピンポイントに的を絞っていかなければなりません。国の行政機関や民間のシンクタンクなどが行う各種の調査結果が参考になります。

そこで発想を少し変えて、最新の設備をフル装備した住宅だけではなく、入居者の気を引くワンポイントの特徴を持たせた「個性」を売りにすることも方法だと思うのです。個性的といっても何も特別な仕様や設計、設備を指すのではありません。例えばこんなことはいかがでしょうか。「敷地を含め、建物全体の掃除が行き届いていて清潔感に溢れている」「防犯に力を入れている」「たとえわずかなスペースでも季節の草花を植える」「駐輪場、ゴミ置き場を特にきれいにしている」・・・。

入居者のニーズに応えるアパート・マンションとは、結局、快適な住み心地を維持し、困ったことやトラブルにもスピーディーに対応して、気持ちよく暮らせる住居であることに尽きます。そこにプラスアルファの何らかの工夫、アイデアを凝らして、住環境に潤いを持たせた付加価値を高めれば、なお理想的、と考えます。

日々の建物の清掃、毎月の集金、思い切ったリノベーションを手がけたいといった、賃貸経営でお悩み、分からないことがあれば、なんなりとご相談下さい。

賃貸経営ワンポイントアドバイス

入居者のトラブルのシグナルを察して手を打つのが、賃貸経営安定に直結

賃貸経営に興味深い「調査結果」
賃貸経営に興味深い内容の調査結果が、リクルート住まいカンパニーから発表されました。「思わず『引っ越したい!』と思った瞬間は?」のランキング結果です。そのベスト5を挙げますと、1位が「隣人が苦手な人だったとき」、続いて2位が「入学・入社・転職などのライフイベントの節目」、3位が「自分よりいい家に住んでいる友人の家に遊びに行った後」、4位が「家に不具合が起こったとき」、そして5位が「ゴキブリが出たとき」となっています。

この結果には考えさせられます。入学や入社、あるいは転勤などで引越しが起きるのはやむを得ないのですが、隣人とのいさかいや家の不具合、あるいはゴキブリ云々で転宅を決意されるのは痛いところです。

賃貸経営の安定化にはできるだけ長く入居者に住んでいただくことが「鉄則」であるのはよく知られていますが、ちょっとした日常のトラブルが取り返しのつかないほど大きくなって、ついに退去となることほど残念なことはありません。

ここに賃貸経営の「極意」が集約されているように思われます。生活の拠点となる住居ですから、トラブルもなく快適に暮らすことが第一で、トラブルの原因があればそれを取り除きたいのが入居者の偽りのない気持ちです。そうした心境を察するのが賃貸住宅を提供する側には必要かと思います。

入居者はトラブルに遭遇したり、不快な思いをすれば色々なサインを出しているはずですから、早々にそうしたシグナルを察して手を打つのが、賃貸経営安定に直結します。

入居者とのつながりは、過度の接触は嫌われることもあるのですが、やはり挨拶レベル以上のアンテナを張っておくことも大事なことです。何かあればすぐに駆けつける「トラブルホットライン」はもとより、積極的に「お困り事」をキャッチする姿勢が重要ではないかと改めて考えさせられたランキング結果です。

情報パック

1月の賃貸マンション賃料指数

首都圏、東京都区部、近畿圏ともに横ばい 微増のラインが続き、前月同値基調
国土交通省は毎月1回、「不動産市場動向マンスリーレポート」を発表していますが、直近のデータを見ると、首都圏の1月の賃貸マンション賃料指数は、平成17年1月を100として、前月同値の107.5となっています。

これは、中古マンションデータを使用して作成された賃料指数で、東京都区部は、前月同値の105.2。タイプ別の首都圏のマンション賃料指数では、1Rタイプ(25㎡)が前月比0.1%低下の103.2、DKタイプ(50㎡)が同0.1%低下の107.2、FAタイプ(80㎡)が同0.1%低下の103.2となっています。

また、近畿圏のタイプ別マンション賃料指数は、1Rタイプが前月比0.1%低下の111.9、DKタイプが前月同値121.6、FAタイプが前月同値の124.7となっています。

数%でも右肩上がりに期待
同省のホームページに過去4年分の賃料指数の推移がグラフで掲載されていますが、首都圏、東京都区部ともに横ばい、微増のラインが続いているのに感嘆の思いです。当然ビジネス的には諸経費も増えていることから、数%でも右肩上がりのラインが理想ですが、現実はほんのわずかの上昇基調となっているものです。近畿の場合は、やや伸びているのですが、それでも4年間の上昇率は5~10%程度。

一般住宅の賃料相場は、本当に物価の優等生といえます。しかし、見方を変えれば乱高下が起きていないのは、社会が落ち着き、賃貸経営も一定の水準を維持していることになります。毎月の賃料が落ち着いているのは、貸す側にとっても安定を指していることですから。

とにかく商品価格は、需給のバランスで決まるわけですから、賃貸住宅も市場では、マンション、アパートが新築ー築浅ー中古と、一定のバランスで維持されていることを物語っているようです。

市場ニーズもここしばらく大きな変化を引き起こす要因が見当たらないので、現況の指数を維持すると見られます。