月刊たかしまや通信バックナンバー:平成27年7月号

空き家対策元年と言われる中の賃貸住宅市場

住宅市場における需要の調整的な役割を果たす

仲介・管理のレベルアップで高入居率を維持する
空き家の増大が全国的にクローズアップされています。この5月には、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されて、今年は空き家対策元年とさえいわれています。空き家と賃貸住宅市場について取り上げます。

住宅と空き家の現状ですが、総務省が公表した「平成25年住宅・土地統計調査」によると、平成25年10月現在のわが国の住宅総数は6063万戸で、過去15年間で1千万戸以上の増加。このうち空き家数は820万戸で、総住宅数に占める空家の割合である空き家率は、13.5%と過去最高となっています。

空き家の内訳ですが、賃貸用の住宅が429万戸、売却用の住宅が31万戸。それぞれ空家全体の52.4%と3.8%で、ここ5年間で増えた空家約63万戸のうち、賃貸住宅は16万5千戸と、およそ全体の26%を占めています。別荘等普段人が住んでいない二次的住宅を除いた空き家率の高い都道府県の上位は山梨、愛媛、高知、徳島、香川で、逆に低いのは宮城、沖縄、山形、埼玉、神奈川。

一方、平成25年の総世帯数は5245万世帯。過去15年間で、800万世帯以上増えたことになります。やはり関東、中京、近畿の3大都市圏の割合が高く、住宅数では、この3大都市圏の合計で全国の約53%を占めています。

住宅の所有の関係では、居住世帯のある住宅5210万戸のうち、持ち家が住宅全体の約62%であるのに対し、借家は1845万戸で全体の35.4%。このうち民営の賃貸住宅は1454万戸で、住宅全体の約28%、借家全体の約79%を占めています。いわばわが国の住宅の6割が持ち家で4割弱が借家、その借家のうち、8割がURや社宅を除く賃貸住宅ということになります。

空家のうち賃貸住宅の割合が高いのは、そもそも住宅全体の中で賃貸住宅の比重が高いことや、住宅市場における需要の調整的な役割を果たしていることが原因となっています。

景気の影響受けるニーズの変化
いかがでしょうか。日本全体の住宅事情の現況と空家の状況の全体像を見てきましたが、こうした統計上のデータが賃貸市場と賃貸経営の置かれている現状をつぶさに示しているようです。

結局、今後の賃貸市場は空き家数と人口の継続的な減少、景気の影響を受けた賃貸ニーズの変化によって、市場のバランスが常に左右される、といった局面を辿ると見られています。

問題はこうした市場環境の下、入居率をいかに維持するかということです。空家増がともすれば市中の物件在庫を押し上げることに直結しかねないだけに、あらゆる手立てを講じて仲介・管理のレベルアップを果たしたいと考えております。

賃貸マーケット情報

不動産投資への期待感が人気支える 投資に高い満足度の調査結果も

投資信託協会が6月に公表した5月の投資信託概況によりますと、公募投信の純資産総額が102兆4574億円で、初めて100兆円の大台を突破しました。日銀や公的資金の流入に加え、個人の投資意欲も旺盛なことから、市場の円安、株高の運用益の拡大が背景にあります。

市場に運用資金が大量に出回ると、個人の裁量が左右する株式相場より、専門家の手によって運用される投資信託に資金が流れる傾向が強くなりがちですが、根底には不動産投資への期待感が人気を支えているようです。
ちょうどこの時期、野村不動産アーバンネットから「不動産投資に関する意識調査(第7回)」の結果が発表されましたが、投資家の投資心理がよく表れています。

それによりますと、投資物件の買い時感について、買い時だと思う、まもなく買い時が来ると思うを合わせると約56%が買い時と回答し、1年後の不動産価格は約56%が上がる、と見ています。

売却で所有物件の組み換え
この先の1年間で投資をしたい投資商品の1位は、不動産投資の約66%で、次いで株式(日本株・外国株)の約48%、REIT(不動産投資信託)の約26%、投資信託の約25%、海外不動産投資、FX(外国為替証拠金取引)がそれぞれ約11%。

不動産投資を行っていることについて、約80%が良かったと思うと回答し、高い満足度を得られており、後悔しているは約1%。

過去3年間に投資用物件を売却した人の割合は約24%で、売却した理由の1位が所有物件を組み替えるためが約71%、2位が不動産価格が上昇したからが約44%、3位は修繕費がかかるからが約23%。

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